第 65 回(東京)・第 66 回(大阪)
スガウェザリング学術講演会

「屋外暴露と促進試験」をテーマに、今年も様々な業界の方々を講師にお招きし講演会を開催いたしました。 東京講演・大阪講演あわせ 400 名以上の方々にご参加頂き、盛況のうちに無事終了することができました。ご聴講頂いた皆様、講師の先生方、並びに役員をはじめご尽力頂きました多くの皆様に厚く感謝し、深く御礼申し上げます。これからもウェザリング技術にたずさわる皆様のお役に立つ情報を発信し続けて参りますので、ご支援の程よろしくお願い致します。

開催日 時 2017 年 11 月 22 日(水) 10:00~16:50 (東京)
2017 年 11 月 29 日(水) 10:00~16:50 (大阪)
場 所 アルカディア市ヶ谷 3 階富士の間 (東京)
大阪国際会議場(グランキューブ大阪) 12 階特別会議場 (大阪)
テ ー マ 屋外暴露と促進試験
後 援 文部科学省
協 賛 (一社)軽金属製品協会(公社)高分子学会(一社)色材協会
(公社)自動車技術会 (一社)繊維学会(一財)日本ウエザリングテストセンター
(一社)日本ゴム協会 (一社)日本塗料工業会 日本プラスチック工業連盟 (一社)日本防錆技術協会 (一社)表面技術協会(公社)腐食防食学会 スガ試験機(株)
主 催 (公財)スガウェザリング技術振興財団

開会のご挨拶

堀 照夫
スガウェザリング技術振興財団 理事長須賀茂雄

本日はお忙しい中、280 名の参加登録を頂き、誠にありがとうございます。おかげ様で、本講演会は今回で65 回目を迎えます。ここにご参集の皆様に、敬意を表し、改めて感謝を申し上げます。 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、当財団名誉顧問の清水司先生が 10 月にご逝去されました。清水先生は、昭和 61 年に当財団の理事にご就任以来、先代とともに当財団事業の道筋を作られ、審査委員長、理事長、評議員会議長として、30 年にわたり当財団をけん引して頂きました。 マイクロ波領域の電波工学研究をご専門として、日本の電波工学の発展に寄与される一方、わが国の教育問題についてご研究され、早稲田大学 11 代総長、日本私学振興財団理事長をはじめ、数々の要職を歴任され、永年にわたり教育、学術の発展、文化の振興に尽くされました。日本を代表する教育者として、生涯を通じわが国の教育に心血を注いでこられた方でした。当財団におきましても常にウェザリンング技術者の人材育成の重要性を説かれ、永年にわたりご支援を頂きました。 敬意を表するとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。 さて、本日の講演も様々な業種からその分野の権威の先生をお呼びしています。いずれも定量的に劣化を捉えようと取り組んでおられる先生方です。ここで発表されるご研究成果は、長い年月をかけ、大変なご苦労と予算を投入して、得られた貴重な財産であります。 「ウェザリング技術は永遠のテーマ」です。 有意義な 1 日となりますよう祈念して、私の開会の挨拶とさせていただきます。

講演内容

齋藤 俊旭硝子株式会社 戦略本部 開発部

フッ素樹脂塗料の超促進耐候性試験評価技術

塗料用フッ素樹脂は、1982年に旭硝子が世界で初めて市販化して以来30余年が経過した。この間、世界中の建築・構造物に数多く応用され、開発当初の期待年数を凌ぐ耐久性を有していることが、実物件での実績として証明されてきている。ここでは、酸化チタン顔料の光触媒劣化作用に着目した超促進耐候性試験の適用事例について紹介すると共に、これまで蓄積してきた国内外での暴露試験結果との相関性についても併せて紹介した。

堀 照夫福井大学 産学官連携本部 客員教授

新しい繊維産業を目指して -非水系染色とスマートテキスタイル-

染色工業では水・エネルギーの大量使用と廃液による環境汚染の問題が深刻となっている。このような中、水に変わって二酸化炭素を媒体とする超臨界下における染色が提案され、今ではアジアを中心にこの方法での実用化が始まった。この原理を応用すれば、従来染色できなかった繊維が高い堅ろう度に染色され、また耐久性の高い機能加工や金属めっきも可能となる。この手法の原理と実用化の状況を紹介する。一方、先進国での繊維産業はスマートテキスタイルと呼ばれる「賢い繊維製品」の開発への展開が進んでいる。本稿ではこれらの新しい繊維産業分野を紹介した。

David M. Burns3M Weathering Resource Center

促進耐候性試験における試験片温度の定量化 – Sol-Air Model の再考-

亜鉛めっき鋼板の塗装前処理として化成処理がある。この化成処理は環境規制への対応が課題である。本研究では、微粒子ピーニング処理と大気圧プラズマ処理の組み合わせによる相乗効果に着眼し、これを利用した亜鉛めっき鋼板における塗装前処理プロセスの確立を目的とする。環境負荷の低減とともに腐食部等に対する現場補修への応用が期待できる。

吉田 公一横浜国立大学 統合的海洋教育・研究センター 客員教授

船舶・海洋における環境試験方法の国際海事機関を巡る動向と将来展望

船舶及び海洋構造物、これらに搭載する機器及び材料は、海洋特有の環境にさらされることを想定し、国際海事機関において作成されてきている国際条約等により環境試験が課されている。また、最近の北極圏航路の利用拡大により、極寒を想定する耐環境性能の要件も裁定されつつある。このような、船舶・海洋における環境試験方法の国際海事機関を巡る動向を紹介し、その将来展望を論じた。

西條 康彦株式会社本田技術研究所 四輪R&Dセンター

自動車の腐食環境の定量化技術

自動車開発において、新しい構造や材料の寿命を予測するため、腐食促進試験結果と市場環境における腐食結果との相関性を確保することは重要である。そのため、鉄の腐食メカニズムを考察し、鉄錆還元電流を検出する実車計測可能なセンサーについて検討を行なった。センサーの電極間に存在する鉄さびの抵抗のため、ファラデーの法則から求めた腐食量と実際の腐食量とは一致しない事が判った。その影響を補正する自動車の腐食環境の定量化技術について紹介した。

須賀 茂雄

須賀 茂雄(東京講演)スガ試験機株式会社 代表取締役社長
喜多 英雄

喜多 英雄 (大阪講演)スガ試験機株式会社 校正部 部長

最近のISO・IEC・ASTMにおける促進耐候性、腐食促進試験規格の動向

促進耐候性試験や腐食促進試験はさまざまな産業分野毎に ISO、IEC、ASTM 規格等に規定されている。各産業分野でそれぞれのエキスパートにより審議されるため、同じ試験方法が分野毎に解釈の違いやその時の審議合意により、結果的に異なった規定になる場合がある。このためスガ試験機では各産業分野の国際標準化審議に横断的に参画し、共通の試験方法については整合するように努めている。ここでは、最近の事例として耐候性試験方法や塩水噴霧試験方法を例にその取組みと課題について紹介した。

懇親会

講演会終了後、協賛のスガ試験機㈱主催の懇親会を開催致しました。 講師の先生方のご挨拶とスガ試験機㈱須賀茂雄社長の乾杯発声の後、講師の先生方を囲みにぎやかな会となりました。

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