「屋外暴露と促進試験」をテーマに、今年も様々な業界の方々を講師にお招きし講演会を開催いたしました。 東京講演・大阪講演あわせ400名以上の方々にご参加頂き、盛況のうちに無事終了することができました。ご聴講頂いた皆様、講師の先生方、並びに役員をはじめご尽力頂きました多くの皆様に厚く感謝し、深く御礼申し上げます。これからもウェザリング技術にたずさわる皆様のお役に立つ情報を発信し続けて参りますので、ご支援の程よろしくお願い致します。
東京会場
大阪会場
開催日 時 | 2019年10月24日(木) 10:00~16:55 (東京) 2019年10月29日(火) 10:00~16:55 (大阪) |
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場 所 | アルカディア市ヶ谷 3階富士の間 (東京) 大阪国際会議場(グランキューブ大阪) 12階特別会議場(大阪) |
テ ー マ | 屋外暴露と促進試験 |
後 援 | 文部科学省 |
協 賛 | (一社)軽金属製品協会(公社)高分子学会(一社)色材協会 (公社)自動車技術会(一社)繊維学会 (一財)日本ウエザリングテストセンター(一社)日本建築学会 (一社)日本ゴム協会(一社)日本塗料工業会 日本プラスチック工業連盟 (一社)日本防錆技術協会(一社)表面技術協会(公社)腐食防食学会 スガ試験機㈱ |
主 催 | (公財)スガウェザリング技術振興財団 |
要旨集 | 要旨集ご購入はこちら |
高湿度環境で生じる加硫ゴムの特異的なオゾン劣化挙動
加硫イソプレンゴムのオゾン劣化に対する湿度の影響について調査した。静的伸長20%を付与したゴムを、40℃、20~90%RHの温湿度一定条件下で48時間オゾン暴露すると、20%RHでは大きなオゾンクラックがゴム内部まで成長したが、80%RHでは微小クラックがゴム表面にのみ多数発生、ゴム表面を白色綿棒で擦ると黒粉の発生が認められた。高湿度下では、一般的なオゾン劣化として知られる低湿度下でのオゾン劣化と異なる劣化機構が生じることを明らかにした。
屋外暴露された高分子の劣化機構における環境依存性に関する近年の動向
屋外暴露された高分子の劣化は、しばしば促進劣化された場合との比較が行われているが、さまざまな屋外暴露試験場に暴露された高分子劣化についても、相互の劣化性状の関係性が明らかにできないのが現状である。高分子の光酸化反応を中心とする自然劣化の環境依存性について近年の動向を発表した。
LED照明下の画像出力された印刷物の耐光劣化性の研究
近年屋内照明でLEDが一般的に用いられているが、この光源が画像出力された印刷物にどのような影響をもたらすか、具体的な報告がなされていない。ISO/TC42(Photography) での規格化に向けて、本財団耐候研究委員会のLED耐候劣化研究分科会でLEDとキセノン光源での劣化挙動の違いを実験し、印刷物の分光劣化特性も含め報告した。
オゾンホール発生時の南極における繊維材料を用いた屋外暴露研究
日本の繊維工業は高い開発力を有し、特に高性能繊維の分野では、市場にあるほぼ全ての高強度繊維が日本で生産されている。一方、高強度繊維には耐光性に課題を抱えているものも多い。そこで、多種の高強度繊維を複数の繊維企業からご提供頂き、実際に南極にて屋外暴露試験を行った。その実験結果につき、全天日射量、春季と秋季のオゾンホールの有無の差異などに注目して解説した。
オゾンホール発生時の南極におけるコラーゲン人工皮膚を用いた屋外暴露研究
現在、南極ではオゾンホールが発生し、短波長紫外線による危険性が懸念されている。当研究室では、紫外線のヒト皮膚に及ぼすダメージ評価用としてコラーゲンシートの研究を行っている。それらのシートに対して人工紫外線を照射し、ヒト皮膚に対する影響を調べている。また、UVカットフィルムなどによるヒト皮膚に対する紫外線ダメージの抑制効果も調べている。実際に南極にて暴露実験も行っており、それらの実験結果について解説した。
高照度の耐候性試験の促進性
新しい材料を用いた新製品が続々と市場に出回る中、材料の耐候性に対する消費者の要求は増々高まっている。新しい材料の開発に遅れをとらないようにするために、耐候性評価の試験時間短縮を目的に、高照度の試験が広く用いられている。ISO / TS 19022:2016には、高照度で試験時間を短縮するための技術的要件(放射照度制御、試験槽内温度およびブラックパネル温度制御、空気流量の変化、および槽内湿度の一定制御等)が記載されており、高照度試験と試験時間の関係は材料毎に考慮する必要があることに言及している。本講演では、実際の高照度試験結果の一例を紹介しながら解説した。
インデンテーション法を用いた屋外暴露高分子材料の耐候劣化評価
本研究では、屋外暴露試験により耐候劣化させたポリカーボネートに対してインデンテーション試験を実施し、劣化層単体の力学特性の推定と耐候劣化現象の定量評価を行った。劣化試験片は暴露期間が増加するにつれて黄変し、FT-IRの表面分析からも分子構造が変化した。それに従って、劣化層の機械的性質も変化することがインデンテーション試験から明らかになった。特に破壊靭性値が大きく低下するため脆化することがわかり、分子構造変化との対応関係を検討した。
AIの活用による大気環境データからの腐食予測の可能性
気温や相対湿度、飛来塩分量などの大気環境データからの腐食予測の可能性についてAIを活用して検討した。日本の六地点での暴露試験で得た腐食データと大気環境データとを教師データとしてAIの種々のアルゴリズムを比較検討し、腐食速度の予測モデルを構築した。さらに、大気環境データから予測モデルによって得られた腐食量の推定値と実際の暴露試験で得られた実測値とを比較し、予測モデルの確からしさについて調査した。
自動車用塗装のHALSによる耐候劣化抑止メカニズムの定量的な解明
HALS(光安定剤:Hindered Amine Light Stabilizers)は塗膜の耐候劣化を抑制するために必須な添加剤の一つである。一般的にHALSはDenisovサイクルにより、塗膜中で構造を変化させながら、樹脂の劣化原因となるラジカルを捕捉し、失活するまで塗膜樹脂の劣化抑制機能が持続すると考えられている。本講演では、HALSの構造変化を様々な分析手法により定量化することで明らかになった、HALSの耐候劣化抑制のメカニズムについて述べた。
講演会終了後、スガ試験機㈱主催の懇親会を開催致しました。 講師の先生方のご挨拶と東京はスガ試験機㈱須賀茂雄社長、大阪はスガ試験機㈱田代次郎営業本部本部長付の乾杯発声の後、講師の先生方を囲みにぎやかな会となりました。
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