本年は東京と京都で開催いたしました。今回も様々な業界の方々を講師にお招きし、東京講演・京都講演あわせ179名の方々にご参加頂き、盛会のうちに無事終了することができました。ご聴講頂いた皆様、講師の先生方、並びに財団役員をはじめご尽力頂きました多くの皆様に厚く感謝し、深く御礼申し上げます。これからもウェザリング技術にたずさわる皆様のお役に立つ情報を発信し続けて参りますので、ご支援の程よろしくお願い致します。
東京会場
京都会場
| 開催日時 | 2025年10月3日(金) 13:00~16:55 (東京) 2025年10月10日(金) 13:00~16:55 (京都) |
|---|---|
| 場所 | 野村コンファレンスプラザ日本橋 6階大ホール (東京) ホテルグランヴィア京都 3階 源氏の間 東(京都) |
| テ ー マ | 新しい視点から挑戦するウェザリング研究 |
| 後 援 | 文部科学省 |
| 協 賛 | (一社)軽金属製品協会(公社)高分子学会(一社)色材協会 (公社)自動車技術会 ステンレス協会(一社)繊維学会 (一財)日本ウエザリングテストセンター(一社)日本鋼構造協会 (一社)日本ゴム協会(一社)日本塗料工業会 日本プラスチック工業連盟(一社)表面技術協会 (公社)腐食防食学会 スガ試験機㈱ |
| 主 催 | (公財)スガウェザリング技術振興財団 |
| 要旨集 | 要旨集ご購入はこちら |
本日はお忙しい中、ご来場頂き、誠にありがとうございます。 毎回、東京/京都とも大勢の皆様にご参加頂き、改めて御礼申し上げます。当財団は、今から44年前の1981年(昭和56年)に、先代の須賀長市と須賀蓊が中心となり、“ウェザリング技術の普及と発展”を願って設立いたしました。これまでさまざまな事業に取り組んで参りましたが、中でも、本講演会は当財団にとって非常に重要な事業であります。本講演会の大きな特長は、「ウェザリング技術」をキーワードに、さまざまな産業分野、技術分野の講演を一度に聞けるということです。〔中略〕国内外、分野を特定することなく、普段あまり袖すり合うことのない研究者が、どんな「ウェザリング」に直面し、どういったアプローチで課題解決に取り組まれているのか、新たな気付きを得る機会として、聴講される方が多いのではないかと思います。本日の講演も、いずれも“新たな視点から挑戦するウェザリング研究”のお話しで、非常に興味深い内容となっております。先代の須賀蓊は良く本講演会の中で、「ウェザリングは永遠のテーマである」と申しておりました。 日々進化し続ける材料開発において、永遠のテーマと向き合う「ウェザリング研究」を押し進めるには、様々な分野からの新たな知見を駆使することが益々求められるのではないかと感じています。 本日の講演会が、皆様の更なるご研究の糧となり、また講演会後の技術交流会が、新しい視点を得るきっかけとなることを願い、私の開会の挨拶とさせて頂きます。
生体用Mg合金の腐食制御・骨形成促進のためのアパタイト被膜の開発
生体内溶解性金属材料として期待されているMg合金の生体内埋入初期の腐食を制御し、骨形成を促進するために、リン酸カルシウム系アパタイトを水溶液処理で被覆する法を開発した。この講演では、作製したアパタイト被膜の組成および構造について述べ、さらに水酸/炭酸アパタイト被覆Mg合金の疑似体液中での腐食試験、骨芽細胞や破骨細胞の培養試験、および動物埋入試験の結果について紹介した。
ネイチャーテクノロジーによる構造発色繊維の創製
自然に学び、構造色による繊維材料の新規着色法を開発した。構造色は光と相互作用する構造が保持される限り退色せず、発色原理の違いから新たな美しさを追求できる。クジャクの羽の高度に発色性が調製された光干渉性構造をコロイド結晶で繊維上に実現した。また、タマムシの翅の発色構造をコレステリック液晶性のセルロース誘導体で再現した繊維や、微細構造によるレイリー散乱により空の青色を閉じ込めたエアロゲル繊維を創出した。
高温過酷環境下において耐熱合金の防食は可能なのか
廃棄物発電プラントや化学プラントで使用される耐熱合金は、極めて過酷な環境下に暴露される。このような環境下では、耐熱合金・コーティングの腐食速度が材料の寿命を決めるといっても過言では無い。このような過酷環境下でプラントの特性を大きく向上させるためには、これまでの延長線にない“何か”が必要である。本講演では、今後どのような観点で耐高温腐食性を検討すべきなのかを解説した。
近世の和釘の組成・組織の調査と耐食性に関する一考察
たたら製鉄の拡大・成熟期を迎える安土桃山から江戸時代にかけて建立された重要文化財指定の建造物で使用された和釘について、化学成分分析、金属組織観察を行い、現代鋼との比較を行った。また、木中での和釘の耐食性発現メカニズムについて、電気化学的手法を用いて検討した。
サーキュラーエコノミーに向けたリサイクルプラスチックデータベース開発
欧州委員会が提案するELV(廃自動車)規制をはじめ、プラスチックのサーキュラーエコノミーの実現は国際的な喫緊の課題となっている。NIMSではこの課題に対し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用したアプローチで取り組んでいる。しかし、その基盤となる再生プラスチックの材料・物性に関する信頼性の高いデータベースは未整備である。本講演では、NIMSが推進する再生プラスチックデータベースの構築状況と今後の展望について紹介した。
講演会の最後に伊藤 叡評議員より閉会のご挨拶がありました。冒頭「ウェザリング」の定義について触れ、異なる材料分野の講師一人一人のウェザリング研究について、化学・物理的見地から「イオン結合・共有結合・金属結合」に大別して解説、今回の講演会のテーマである「新しい視点から挑戦するウェザリング研究」と結びつけて、各講師の“新たな視点”について言及し、その研究の重要性を説きました。
各講演会終了後、スガ試験機㈱主催の技術交流会を開催致しました。 講師の先生方よりご挨拶をいただき、乾杯発声の後、先生方を囲みながら活発な意見交換が行われ、終始和やかな雰囲気の中で親睦を深める場となりました。
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