本年度も、コロナウイルス感染拡大の影響を鑑み、Web開催(ライブ配信)いたしました。第2回となる今回は、379名の方々に参加登録頂き、盛況のうちに無事終了することができました。ご聴講頂いた皆様をはじめ関係の皆様に厚く御礼申し上げます。これからもウェザリング技術にたずさわる皆様のお役に立つ情報を発信し続けて参りますので、引き続きご支援の程何卒よろしくお願い申し上げます。
スガ試験機 新宿本社(NSホール)での配信風景
開催日時 | 2021年12月1日(水) 10:30~16:30 |
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配信方法 | ライブ配信 |
テ ー マ | ウェザリング研究の成果発表と最新情報 |
後 援 | 文部科学省 |
協 賛 | (一社)軽金属製品協会(公社)高分子学会 (一社)色材協会 ステンレス協会(一社)繊維学会 (一財)日本ウエザリングテストセンター(一社)日本ゴム協会 (一社)日本塗料工業会 日本プラスチック工業連盟 (一社)日本防錆技術協会(一社)表面技術協会 (公社)腐食防食学会 スガ試験機㈱ |
主 催 | (公財)スガウェザリング技術振興財団 |
要旨集 | 要旨集ご購入はこちら |
暴露試験技術と水素脆化評価技術の高度化と普及による PC 鋼材使用設備の信頼性向上
(第 38 回スガウェザリング財団賞表彰 科学技術賞受賞)
身近な社会資本である電柱の保全で大きな負荷となる、電柱内部の高強度鉄筋の水素脆化について研究した。小型試験片を併用した独自の電柱の暴露試験技術を確立した。更に電柱内の鉄筋の水素脆化促進試験の標準化を、長年未解明であった反応機構を解明することで実現した。成果は電力機材の暴露試験の拡大に寄与した。標準化した促進試験法は高強度鋼の品質管理や電力用規格で活用され、電力機材の信頼性向上や公衆安全へも貢献していることを解説した。
鋼製構造物各部位の腐食環境と耐食性評価
(第 38 回スガウェザリング財団賞表彰 科学技術賞受賞)
電気化学インピーダンス法を用いて、屋外環境にさらされた鋼製モデル構造体の各部位の腐食挙動を調査した。各部位の濡れ状況と腐食速度は、環境因子の変化に対応して変化した。各部位の腐食量を比較した結果、構造体の水平部分は垂直部分よりも腐食量が多いことがわかった。また、水平部分において、屋根部よりもフランジ部の腐食量の方が大きい傾向が見られたことを解説した。
北方圏での大気腐食挙動に及ぼす雪の影響
(第 39 回スガウェザリング財団 研究助成成果)
厳冬期の積雪寒冷地では,低温であるため金属の腐食は殆ど進行しないと考えられてきた。しかし,雪に塩が含まれると融点が 0℃以下になり,雪と金属界面に塩を含む水膜が生成し,予想より以上の速度で腐食が進行する可能性がある。雪による金属の大気腐食への影響を解明するため,積雪寒冷地での曝露試験と雪に含まれる各種イオンの分析を実施した。その結果について解説した。
キセノンランプを用いた様々な耐候性試験とその条件
屋内外で使用される製品は、太陽放射を含めた様々な環境因子により劣化する。そのため製品の開発や品質管理に耐候性試験は、重要となる。耐候性試験は、製品が使用される環境に適した試験をする必要があり、キセノンランプを用いた試験だけでも規格はさまざまであり、条件も異なる。また広く使われている ISO4892-2 は、今年追補が発行され、フィルターの分類が細分化された。今回、改訂された最新の規格も含め、キセノンランプを用いた試験でのフィルターや試験条件について解説した。
マイクロプラスチックに関する課題と研究の動向(特別講演)
プラスチックは、我々の生活に欠かせない有用な物質である。しかし、世界全体で年間数百万トンを超えるプラスチックごみが海洋に流出していると推計されており、国際的に重要かつ喫緊の課題として検討が行われている。本講演では、流出量の推計、輸送と蓄積の実態、生態系への影響の 3 点に分けて、それぞれの現状と課題を整理した上で、マイクロプラスチックに関する研究と対策の動向を解説した。
わが国における腐食コスト(特別講演)
2015 年における日本の腐食コスト調査を行ない、1974 年および 1997 年の結果と比較した。3 つの経済状況での調査は世界初である。2015 年の腐食コストは、Uhlig 方式で 4 兆 3 千億円、および Hoar 方式で 6 兆 6 千億円であり、それぞれ GNI の0.78%および 1.27%であった。2015 年の腐食コストは 1997 年とほぼ同程度であるが、新技術を使うことで腐食コストパフォーマンスは向上していることを解説した。